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全く知らない国の言葉でどんどん進められるのは恐い物がありますよね。
罪を犯した人とはいえ、そういった差別を受けるのはどうかと思います。
しっかりと通訳を付けてあげてほしいですね。
◆通訳公判中1人きり (3月9日 読売新聞)
誤訳あれば判決に影響集中審理で準備時間不足
16日に始まる県内初の裁判員裁判。起訴されたのは覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)などに問われたロシア国籍で住居不定、船員ロマノフ・オレ グ・ニコラエビチ被告(42)で、公判での通訳を全期間、ロシア語の法廷通訳人が1人で担当する。裁判員裁判では、書面から口頭での立証に重点が移る上、 集中審理などにより、通訳人にかかる負担はこれまで以上に大きいとみられる。疲労から誤訳などが起きたりしないようにする環境は、十分に整備されているの か。現状を取材した。(園田将嗣)
■法廷通訳人とは
法廷通訳人は、日本語を理解できない外国人らが起訴された場合、公判で被告の供述などを正確に訳さなければならない。
新潟地裁によると、法廷通訳の候補者名簿の登録者は、県内居住の延べ39人。中国語(北京語)が16人と最多で、韓国・朝鮮語9人、ロシア語2人などと続き、裁判所が事件別に選任する。
最高裁によると、裁判員裁判が始まった昨年5月21日から同12月31日までに判決言い渡しがあった対象事件で、外国人被告は22人。このうち、21人に法廷通訳がついた。
今回、県内初の裁判員裁判で裁かれるロマノフ被告は、起訴段階で容疑を否認。争点は、被告が、持ち込んだものが覚せい剤だった認識を持っていたかに絞られる。裁判員らは検察側が示す間接的な証拠や弁護側の主張から総合的に判断する。
■長時間審理
有罪・無罪、量刑を決める重要な材料になるのが被告の供述。通訳人が微妙なニュアンスを伝えられるかで、裁判員らの心証形成は左右されかねない。 法言語学者らでつくる「法と言語 学会」が模擬裁判を通じて行った実験では、通訳人が誤訳なく作業できたのは30分間。30分を超えると通訳漏れが現れ始 め、45分以上で、間違った単語を使うようになったという。
昨年12月に千葉地裁で3日間、法廷通訳を務めた女性(39)は、「裁判員裁判は通常より2~3倍疲れた。疲れるほど集中力が切れ、誤訳もあり得る」と振り返り、「誤訳すれば被告の一生を左右しかねない」と危惧(きぐ)する。
法廷通訳に詳しい金城学院大学・水野真木子教授は、「通訳の情報漏れはミスリードにつながる。裁判所は法廷通訳の疲労が蓄積しないような審理をするべき」と警告する。第1号事件の通訳人は1人だが、水野教授は「ミスを防ぐためには最低でも2人は必要」と話す。
■準備時間の減少
裁判員裁判では、連日開廷による集中審理が行われる。
県内で法廷通訳を務める女性によると、従来は論告求刑や判決言い渡し前までに関係者から書面の提供を受け、入念な事前準備ができた。A4判1ページの翻訳に約1時間必要で、公判の争点の理解や翻訳した文章展開に矛盾がないか、何度も書面を読み返して公判に臨んでいた。
しかし、裁判員裁判では、判決文の草稿を事前に翻訳するための、十分な時間の確保は難しい。被告人質問や証人尋問などで通訳作業は増え、通訳人の負担増が懸念される。
これらの課題に、新潟地裁は「裁判官が(公判で)話すことがすべて。通訳はそれを訳すだけ」とするが、元裁判官で新潟大学法科大学院の西野喜一教授は、「通訳が被告の運命を決める度合いは大きい。地裁は通訳の重要性に対する認識が極めて低い」と指摘する。
■環境整備
法廷通訳を取り巻く環境は未整備の部分が多い。現在、公判中に通訳人と被告のやりとりが正確に行われているかを、第三者が確認する手段が確立されていない。
通訳人のレベルアップや育成も急務だ。裁判所が作成する初歩的な対訳ハンドブックだけでは公判に対応できず、通訳人が経験を通じて技術を磨くしかない。
裁判所は年に1回程度、通訳人らに刑事手続きなどを教えているが、専門家からは不十分との声も上がっている。